【10月13日 AFP】国連(UN)は13日、過去20年間に起きた自然災害7000件超による被害を分析した報告書を発表し、大地震の復興途上でハリケーンの直撃を受けたハイチが世界で最も多くの犠牲を出していると指摘した。

 ハイチは南北米大陸で最も貧しい国で、2010年に起きた大地震の被害からまだ復興できていない中、今月初めに非常に強いハリケーン「マシュー(Matthew)」の直撃を受けた。被害は甚大で、少なくとも473人が死亡。これにより、過去20年間のハイチの災害犠牲者数は合わせて23万人近くに達したと、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)は新たな報告書で述べている。

 報告書によれば、1996年~2015年に自然災害で死亡した135万人のうち90%が低中所得国に暮らす人々で、中でもハイチでは6人に1人が命を落としている。

 UNISDRの ロバート・グラッサー(Robert Glasser)事務総長特別代表(防災担当)は記者会見で、「国の社会経済的地位と、その国を襲った自然災害がもたらす人的被害との間には、明確な関連性がある」と指摘した。

 過去20年間の災害死者数が2番目に多かったのはインドネシアで約18万2000人、3番目はミャンマーで約13万9500人だった。

 また、報告書からは、地震と津波が過去20年間で最も多くの犠牲者を生んだ自然災害だったことも明らかになった。分析対象期間内に計74万8621人が、地震とそれに伴う津波で死亡したという。一方で、洪水や土砂崩れ、熱波、暴風雨など気候変動に関連した災害も、この20年間で2倍以上に急増しているとグラッサー氏は述べている。(c)AFP