【10月13日 AFP】ボクシング、ヘビー級王者のタイソン・フューリー(Tyson Fury、英国)は、「治療と回復」に専念するため、WBA・WBO世界ヘビー級のタイトルを即時返上することが明らかになった。同選手のプロモーターを務めるヘネシー・スポーツ(Hennessy Sports)が12日、発表した。

 先日、うつ病を治療するためにコカインを摂取したことを認めた28歳のフューリーは、元王者のウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko、ウクライナ)との再戦を2度にわたりキャンセルし、タイトルをはく奪される可能性に直面していた。

 フューリーは声明で、「これが公平な唯一の方法であり、タイトルを空位にしておくことがボクシングのためになると感じている。これで、私が長年王座に君臨していたウラディミール・クリチコを倒し、無敗王者として勝ち取ったベルトを、ほかの選手が競うことができる」とすると、「これまでリングで手にしたタイトルは、リングで失うべきだと信じているが、今回は防衛することができない」と説明した。

 フューリーのプロモーターを務めるミック・ヘネシー(Mick Hennessy)氏は、この決断に「胸が張り裂けている」とコメント。フューリーのおじでトレーナーでもあるピーター・フューリー(Peter Fury)氏も、「タイソンはこれで前よりも強くなって戻ってくる。どんな状況に立ち向かうことになろうとも、タイソンは復帰して、正当な王者として再び名乗りを上げると、私は確信している。おいが成し遂げてきたことを誇りに思う」と強調した。

 歯に衣着せぬ物言いで知られるフューリーは今月、精神的な問題を理由にクリチコとの再戦をキャンセルしたあと、米情報誌ローリング・ストーン(Rolling Stone)のインタビューで、そううつ病の治療としてコカインを摂取したことを明かした。

 一方、英国ボクシング管理委員会(BBBofC)は同日、薬物摂取を認めたフューリーのライセンスをはく奪するべきか議論する会合を開き、その結論を13日に発表することになっていた。(c)AFP