【10月11日 AFP】中国東部・浙江(Zhejiang)省の温州(Wenzhou)市で起きた集合住宅4棟の倒壊事故で、最後に救出された生存者は、亡くなった父親の腕の中で生き延びた3歳の女児だった。

 国営の中国中央テレビ(CCTV)の報道によると、これまでに少なくとも22人が死亡した倒壊事故の発生から12時間以上が経過した後、6階建ての住宅4棟のがれきの奥底から女児が発見された。父親(26)が身をていして守ったおかげで女児は軽傷を負っただけだった。靴工場で働いていた父親は、崩れ落ちるがれきから娘を守ろうと覆いかぶさるような格好のまま、太いセメントの柱の下で遺体となって発見された。

 中国青年報(China Youth Daily)に対し、救助隊の1人は「子どもが生き残れたのは、父親がまさに自分の体を張って娘が生き残るためのスペースを保持したからだ」と語った。

 倒壊はこの一家が居間にいた時に起きた。父子が発見された地点から遠くない場所で、母親も遺体で発見されている。

 温州市鹿城(Lucheng)区当局によると、ビルの3階分の高さにまで積み上がったがれきの中での捜索活動は、11日の早い時間で打ち切られた。死亡が確認されたのは22人、生存者はこの女児の他に5人しかいなかった。

 CCTVによると倒壊の原因は現在も捜査中だが、専門家らは最近降った豪雨に加え、村人らが自分たちで建設した建物だったことで建築の質が低い上、老朽化していたことなどの要因が重なったとみている。(c)AFP