【10月6日 AFP】女子テニスのマリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)が5日、ドーピング違反をめぐる資格停止処分で、国際テニス連盟(ITF)が自身を見せしめにしようとしていたと非難した。

 4日に下されたスポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定の結果、2年間の資格停止処分が15か月に短縮されることになったシャラポワは、ITFが紛争の間、中立性を欠いていたと主張する。

 米公共放送PBSとのインタビューで、ITFが自身を見せしめにしようとしていたかと問われた四大大会(グランドスラム)通算5勝の元女王は、「まったくもって信じたくないですが、そう思い始めてもいます。2年間の資格停止処分を受けましたが、ITFは当初4年間の処分を望んでいました」と語った。

 一方、英ロンドン(London)に本部を置くITFは5日、今年1月に行われた全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2016)のドーピング検査で陽性反応を示した同選手に対しては、当初から2年間の資格停止処分を下していたとして、シャラポワの発言を否定している。

 ITFは英通信社プレス・アソシエーション(Press AssociationPA)に対して出した声明で、「ITFは、シャラポワ氏に対して4年間の資格停止処分を科そうとしたことはない。われわれは、どのような制裁がふさわしいかを決定することは、独立した聴聞委員会の責任だとする立場をとった」と述べた。

 さらに、シャラポワはITFが審議においても中立的ではなかったと話す。

「ITFの聴聞会に出席しましたが、仲裁委員はITFによって選出されていました。私は、自分が争っている相手によって選ばれた人たちの前で話していると自覚した上で、聴聞会に臨みました」

「彼らがそれを中立的だと言っている?そんなの中立的だとは呼べないです。CASこそが中立的立場にあるのであって、この結果はCASがもたらしてくれたものです」

 一方のITFは声明で、シャラポワと弁護団は仲裁委員会の各メンバーに対して、反対する権利があったが、書面でのやり取りでも異論を申し出てこなかったと反撃した。

 10年間にわたり心臓の問題やマグネシウム欠乏症のためにメルドニウムを服用していたと弁明しているシャラポワは、同薬が今年1月から世界反ドーピング機関(WADA)が定める禁止薬物のリストに追加されていたことを確認していなかったと一貫して主張していた。

 今回のCASの裁定の結果、シャラポワは来年4月からツアーに復帰することが可能となった。また同選手はすでに、10日に米ラスベガス(Las Vegas)で行われるエキシビションに参加することが決定している。(c)AFP