【10月5日 AFP】(更新)香港(Hong Kong)の選挙制度の民主化を求めた2014年の大規模デモ「雨傘運動(Umbrella Movement)」の学生指導者の一人、黄之鋒(ジョシュア・ウォン、Joshua Wong)氏(19)が、タイに入国した際に身柄を拘束され、香港に送還されたことが分かった。黄氏が率いる政党と活動家らが5日、明らかにした。中国政府から事前に黄氏の訪問について通報があったという。

 黄氏は、タイで軍による弾圧を記念するイベントに出席する予定だった。黄氏の政党「香港衆志(デモシスト、Demosisto)」がタイの学生活動家の話として明らかにしたところによると、4日遅くに首都バンコク(Bangkok)のバンコク(スワンナプーム)国際空港(Suvarnabhumi International Airport)に到着したところ身柄を拘束された。

 香港衆志は声明で「タイ政府が黄の自由と入国の権利を不当に制限したことを強く非難する」と表明。黄氏を即時解放するよう要求した。

 学生活動家のフェイスブック(Facebook)への投稿によれば、黄氏を出迎えるため4日遅くに空港に行ったところ、数時間待たされた揚げ句、空港職員に黄氏は拘束されたと伝えられた。さらに、警察から「当該の人物について中国政府からタイ政府に宛てた文書がある」と告げられたという。

 この学生活動家を含む数十人の学生らはバンコクの大学キャンパスで雨傘を持ってデモを行い「ジョシュア・ウォンはここにいる権利がある」とシュプレヒコールを上げた。

 一方、タイ入国管理警察のトップはAFPの取材に対し、本件についてはまだ把握していないと回答した。タイ軍事政権の報道官は中国政府から公式な要請があったとは聞いていないと述べた。空港の入国管理当局者は黄氏の拘束を命じられたことは認めたが、誰がその命令を出したのか明らかにすることは拒否した。

 タイでは1年近く前にも、中国政府に批判的な書籍を扱っていた香港の出版社社員が休暇中に姿を消す出来事が起きている。(c)AFP