【9月29日 AFP】2014年7月にウクライナ東部で起き298人が死亡したマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便撃墜事件について、オランダが率いる合同捜査チームは28日、使用されたミサイルがロシアから搬入されたことが分かり、事件に「積極的役割」を果たしたとされる約100人が捜査対象となっていることを明らかにした。

 捜査チームは、MH17便が地対空ミサイル「ブク(Buk)」によって撃ち落された「反論の余地のない証拠」があるとした上で、同ミサイルはウクライナ東部の親ロシア派掌握地域にある平原から発射されたことを確認したと発表した。

 捜査チームの報告によると、同ミサイルはロシアからウクライナに運び込まれた後、白色のボルボ(Volvo)トラックに移され、制服を着た武装集団によって護送された。ミサイル発射装置はその後、ロシア側へと戻されたという。

 さらにオランダ当局は捜査報告の発表から数時間後、事件に関連しロシア語話者の男2人について「特により多くの情報を探している」と発表した。

 オランダ警察のウェブサイトに発表された声明によると、2人は「オリン」と「デルフィン」という仮名を使用しているが、氏名はそれぞれアンドレイ・イワノビッチ(Andrey Ivanovich)、ニコライ・フョードロビッチ(Nikolay Fiodorovich)と特定された。

 オーストラリア、ベルギー、マレーシア、ウクライナも参加する同捜査で、事件に関連して個人の氏名が特定されたのは初めて。

 ウクライナと欧米諸国はかねて、同機を撃墜したのは親ロシア派武装勢力であり、使用されたミサイルはロシア政府が提供した可能性があると主張してきた。捜査チームはロシアの直接関与を断定していないものの、今回の捜査結果はこうした西側諸国の主張を裏付けるような内容となっている。

 一方、ロシア政府と親ロシア派勢力はそれぞれ、捜査報告を受けて事件への関与を改めて否定する声明を発表した。(c)AFP/Jan Hennop, with Maude Brulard in The Hague