【9月26日 AFP】10代の若者とその家族をモデルにしたヌード写真で有名な米写真家のジョック・スタージス(Jock Sturges)氏がロシア・モスクワ(Moscow)で開催していた写真展で25日、露政府を支持する活動家らが作品に尿をかけ、展覧会を閉鎖に追い込んだ。同氏の写真をめぐってはこの前日、政府顧問の一人が「チャイルドポルノ」だと非難していた。

 ギャラリー館長のナタリア・リトビンスカヤ(Natalia Litvinskaya)氏は報道陣に対し、写真展「ジョック・スタージス:アブセンス・オブ・シェーム(恥の欠如)」は「小児性愛とは全く関係ない」が、「完全に妄想に取りつかれた人々からの脅迫」を受けたため閉鎖の決定を下したと述べた。

 前日24日には、保守系の有力議員エレーナ・ミズリナ(Yelena Mizulina)氏が、この写真展について自らのウエブサイト上に声明を発表し「チャイルドポルノの画像を公然と公開している」、「大至急、閉鎖すべき」などと非難していた。

 米カリフォルニア(California)州を拠点に活動するスタージス氏がロシアで初めて開催した同写真展は、露大統領府(クレムリン、Kremlin)の近くにある老舗画廊、ルミエール・ブラザーズ・ギャラリー(Lumiere Brothers Gallery)で今月7日に始まった。

 AFP映像記者の目撃によると、揃いの上着や迷彩服を着た「ロシアの役人(Officers of Russia)」と呼ばれる知名度の低い活動団体のメンバー約20人が25日、警察に監視されながらギャラリーの入口前に立ちはだかった。同団体は自らについて、現役・引退後の軍関係者と「憂慮する市民」による愛国団体で、10万人以上の会員がいると称している。

 同団体のリーダーで、有識者などで構成される諮問機関「ロシア連邦市民審議会(Civic Chamber of the Russian Federation)」の治安委員会トップも務めるアントン・ツベトコフ(Anton Tsvetkov)氏は、展覧会主催者らと共に写真展を見学。その後、ギャラリーの外に現れ、写真展に対して「恥を知れ」と叫び声を上げる支持者らに向かって「主催者側は市民審議会の要求を受け入れ、本展示は今日をもって閉鎖される」と大声で宣言した。ただし同氏は「半裸」の子どもの写真しか展示されていなかったことも認めた。

 スタージス氏は、現時点ではコメントを発表していない。(c)AFP/Andrei BORODOULINE