【9月23日 AFP】米オクラホマ(Oklahoma)州タルサ(Tulsa)で武器を持たない黒人男性が警察官に撃たれて死亡した事件で、タルサの地方検事は22日、この警官を第1級故殺の罪で訴追した。

 黒人男性のテレンス・クラッチャー(Terence Crutcher)さん(40)が16日に警官に撃たれる様子は警察車両の車載カメラや警察のヘリコプターが撮影していた。公開されたその映像により、警察とアフリカ系米国人との間で再び緊張が高まった。

 映像には、両手を上げて自分の車にもたれかかるクラッチャーさんが複数の警察官に囲まれ、そのうち1人の女性警官、ベティ・シェルビー(Betty Shelby)容疑者が発砲した後、クラッチャーさんが地面に倒れる様子が映っている。胸を1発撃たれたクラッチャーさんは、搬送先の病院で死亡した。

 タルサ検察当局のダグ・キャンベル(Doug Campbell)首席捜査官は裁判所に提出した書類の中で、クラッチャーさんは運転席側のフロントガラスに手を伸ばした際に撃たれ、同時に別の警官からはスタンガンの一種「テーザー(Taser)銃」で撃たれたと述べた。またキャンベル捜査官は、クラッチャーさんはずっと何かをつぶやいていて、シェルビー容疑者はクラッチャーさんと対峙(たいじ)している間中「命の危険を感じていた」と主張していると語った。

 しかしキャンベル捜査官は、口頭での命令に従わず両手を上げたまま離れようとしたクラッチャーさんと対峙したことで、シェルビー容疑者は「状況をエスカレートさせる不合理な反応を示し、過剰に反応する状態まで感情的になった」と語っている。第1級故殺罪は有罪となれば最低でも禁錮4年が言い渡される。

 クラッチャーさんの事件を受け、タルサではシェルビー容疑者の処罰を求める抗議のデモが行われたが、別の黒人男性が警官に撃たれて死亡したことに抗議する人々と警官隊との激しい衝突が2夜におよんだノースカロライナ(North Carolina)州シャーロット(Charlotte)とは異なり、これまでのところ抗議デモは平和裏に行われている。(c)AFP