【9月23日 AFPBB News】パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)やエドバルト・ムンク(Edvard Munch)の名画から、仏像、風刺画までありとあらゆるモチーフを、のりと酢飯で紡ぎだしたアートな巻き寿司。“たまちゃん(Tama-chan)”こと清田貴代(Takayo Kiyota)さんは、行楽のお供としてなじみ深い巻き寿司使ったアート作品を次々と発表する一方、ワークショップを全国で展開し、食育をテーマにものづくりの楽しさを伝えてきた。

 イラストレーターとして活動していたたまちゃんが「家にあるご飯やのりで絵を描けたら楽しそうだし、日本人の表現としてもおもしろいのでは」と思いつき、制作を始めたのは2005年。以来10年間で、手掛けた作品は500に近い。2013年にはノルウェー観光局主催のコンテストに出品した“ムンク寿司”の動画作品が2位に入賞し、翌年には作品集「スマイリング・スシ・ロール(Smiling Sushi Roll)」を出版するなど、海外でも注目を集めている。

 17日には東京都台東区浅草で、こけしをモチーフにした巻き寿司ワークショップを開催。田麩(でんぶ)やゆかりで色づけされた酢飯や人参やパプリカなどの色鮮やかな材料をのりでくるりと巻き、こけしの顔を作り上げていく。同じ具材を使ってもこけしの顔は十人十色。「細かい、大雑把など、こけしの顔にその人の性格がでます。空腹だと、寿司のサイズが大きくなったり」とたまちゃん。

 この日で3回目の参加となる渡辺孝広(Watanabe Takahiro)さん(42)は、「パーツが細かくバランスが難しいが思った通りのものができてうれしい」と口元をほころばせていた。

 ワークショップ終盤には、築地市場の移転問題をテーマに、1本の巻き寿司が魚から東京都庁舎へと変化する新作を披露。風刺のきいた巻き寿司を通して、食の安全を訴えた。(c)AFPBB News