【9月20日 AFP】中米ホンジュラスの若者ネルソンさんは、麻薬の密売を強要する凶悪な犯罪組織から逃れようと米国に渡った。しかし母親のマリーナさん(46)によれば、本国に強制送還されてから間もなく命を落とした。まだ23歳だった。

 ホンジュラスの国家人権委員会(National Human Rights Commission)によると、人口およそ800万人の同国で2004年から2014年の間に7万4000人以上もの国民が国外へ移住している。

 犯罪組織に3人の息子を殺されたヘラルディーナさんは今、娘のことを心配している。「娘は兄たちが殺されるのを目の当たりにしているの。家に押しかけてきたギャングたちは、彼女の口に拳銃を突っ込んで誰にも言うなと脅したんです」

 犯罪組織の犯行の目撃者としてAFPの取材に応じた他の人たちと同様に、ヘラルディーナさんもインタビューの条件としてフルネームを明かさないことを望んだ。

 ヘラルディーナさんの22歳と19歳の息子を犯罪組織「メガロコス(Megalocos)」が殺害した理由は、サッカーチーム「オリンピア(Olimpia)」のTシャツを着るなという警告に2人が従わなかったからだという。23歳の長男はメガロコスのメンバーになることを拒んだために殺された。

 マリアさん(43)は、2014年にギャングに誘拐されたきり行方が分からなくなった息子を捜し続けていた。マリアさんの妹やおいも捜索に加わってくれたが、しばらくしてそのおいは頭部に銃痕のある遺体となって発見された。