■闘う気のない警察

 国家人権委員会のロベルト・ヘレラ(Roberto Herrera)委員長によると、昨年に国外移住を申請したホンジュラス人は1万6000人超で、前年から99%も増加している。住み慣れた地を後にするのは殺人や誘拐、恐喝、暴行、脅迫などから逃れるためだ。移住先としては同じ中米のコスタリカか北米のカナダを希望する人が多いという。

 もっとも、申請許可などわざわざ待たず、米国へそのまま逃げていく人も少なくない。

 ホンジュラスは世界でも最も殺人率が高い国の一つだ。世界保健機関(WHO)によれば、ホンジュラスの殺人率は世界平均の6倍を上回る。

 高い殺人率の要因として、ホンジュラスの当局者らは犯罪組織と麻薬密売者の存在を挙げる。

 ホンジュラスの主要都市では「マラ・サルバトルチャ(MaraSalvatrucha)」や「ディストリクト18(District 18)」といった犯罪組織が郊外の貧民街を牛耳っている。ホンジュラス第2の都市サンペドロスラ(San Pedro Sula)は世界で最も治安の悪い都市の一つとされ、「銃撃が毎日のように起こり、1時間以上も続く」(地元女性)

 米国際開発局(USAID)の推定では、ホンジュラスでは犯罪組織の構成員3万6000人が暗躍する。だが警察には犯罪組織に対抗する意思はないとみられている。

 このためホンジュラスは警察の浄化を目的とした委員会を設置しなければならなかった。「法廷まで持ち込まれる犯罪は全体のわずか4%。これは有効な捜査が欠如しているためだ」と委員会のメンバー、オマル・リベラ(Omar Rivera)氏は話している。(c)AFP/Noe LEIVA