【9月16日 AFP】米ニューヨーク(New York)のマンハッタン(Manhattan)で15日、男が肉切り大包丁を振り回して非番の警官の顔面に切り付ける事件があった。現場に駆け付けた警察は男に18回発砲して取り押さえた。男は重体ながら容態は安定しているが、こめかみから顎にかけて15センチ切り裂かれた警官は危篤だという。

 警察によると、通報を受けて容疑者の追跡が始まったのは現地時間午後5時(日本時間16日午前6時)過ぎ。ニューヨーク市警のジェームズ・オニール(James O'Neill)次期本部長によると、最初に入った無線通報は器物破損の疑いについて伝えるものだった。

 警察がペンシルベニア駅(通称ペン駅、Penn Station)に近い現場に駆け付けると、アクラム・ジュデ(Akram Joudeh)容疑者(32)が違法駐車の車にはめる車輪止めを外そうとしていた。その後、刃渡り28センチの肉切り包丁を腰ベルトから引き抜いて逃走を図った。

 警察は当初、スタンガンの一種「テーザー銃」を使ってジュデ容疑者を拘束しようとしたものの失敗。男がパトカーのフロントグリルに登ったところを、今度は私服の非番の警官が自ら取り押さえにかかったが、その際にこの警官はこめかみから顎にかけて15センチ余りの深い傷を負った。この時点で警察は18回発砲した。

 オニール氏は、ジュデ容疑者は重体だが容態は安定していると説明。一方、襲われた非番の警官は危篤状態となっており、別の警官2人は負傷したものの命に別状はないと明らかにした。

 マンハッタンは長年にわたって厳しい取り締まりが行われてきた結果、犯罪率が過去最低の水準に下がっており、今回のような白昼の暴力事件は珍しい。警察はテロの可能性も排除していないとしている。(c)AFP