【9月16日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)は、今週末の第15戦シンガポールGP(Singapore Grand Prix 2016)から新時代に突入する。フェラーリ(Ferrari)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)をはじめとする各ドライバーは15日、新しい興行主となった米リバティメディア(Liberty Media)への要望として、タイトル争いの激しさやスピード感を増して、エキサイティングなレースができるような運営を望んでいると語った。

 米メディアの巨頭として知られるジョン・マローン(John Malone)氏が会長を務め、F1の親会社を買収して企業価値を80億ドル(約8150億円)に高めたリバティ社が大株主となったことにより、レースにどのような変化がもたらされるのか、各チームのドライバーはそれぞれの期待を語った。

 世界王者に通算4度上り詰めた実績を持つベッテルは、「ドライバーとしてスピード感が増したレースを望んでいる。最もエキサイティングなマシンを駆りたい」と訴えた。

 ベッテルがレッドブル(Red Bull)時代の2010年シーズンから4連覇を果たし、さらに2014年シーズン以降の3年間ではメルセデスAMG(Mercedes AMG)が独走状態を築くなど、最近のF1では単調な結果が続いていることを受け、フォースインディア(Force India)のセルヒオ・ペレス(Sergio Perez)は、ファンがコース上でもっと接戦を期待していると強調した。

「もっと激しい勝負がみられるようにして、中堅チームが勝利を飾り、タイトル争いに食い込める機会を増やしたい。あるレースではウィリアムズ(Williams)が勝ち、次のレースでは別のチームが勝つようになれば、ファンも大いに楽しめると思う」

 パドックに流れる情報の信頼性が高ければ、各ドライバーは早ければ16日にも、F1界の新オーナーに直接要望を伝える機会が得られるとみられる。

 最高経営責任者(CEO)のバーニー・エクレストン(Bernie Ecclestone)氏は当初、シンガポールGPに来る予定はないと述べていた。しかし、サーキット上ではこの日、エクエストン氏の気が変わったといううわさが飛び交っていた。

 独紙ビルト(Bild)によれば、エクレストン氏は新会長のチェイス・キャリー(Chase Carey)氏を伴い、レースが行われるマリーナベイ・ストリート・サーキット(Marina Bay Street Circuit)に到着する予定だと伝えられている。

■大音量の12気筒(V12)エンジン

 レッドブルのダニエル・リカルド(Daniel Ricciardo)は、レース後のパーティーをもっと楽しいものにするために、決勝レースを土曜日に開催する案を伝える可能性を明かし、「日曜日の代わりに土曜日のレースを提案したい。そうすれば、土曜日の夜にはもっと大きな計画が立てられるから、きっと楽しいだろう」と笑いながら話していた。

 一方、英国出身のベテランドライバーで元世界王者のジェンソン・バトン(Jenson Button)は、もっと若いファンを増やすことに専念するべきだと話し、「記事で読んだ情報によれば、彼ら(リバティ社)は若いファン層の獲得に非常に興味を持っているようだ。それは僕も必要なことだと思う」とコメントした。

「グリッドには18歳のドライバーがいるのに、ファン層は三十代から四十代がほとんどだ。十代や二十代のファンはとても限られている。若者たちがこのスポーツにのめり込み、いかに最先端の技術を駆使しているエキサイティングなレースかということが分かれば、素晴らしいスポーツだからみんな夢中になるはずさ」

 ベッテルはまた、現在使用されている音の静かな6気筒(V6)ターボエンジンではなく、大音量が鳴り響く12気筒(V12)エンジンの復活を望んでいるとして、「どんな車を駆りたいかと問われれば、シリンダーの数を倍に増やし、すごく複雑な電気装置も取り払いたいと答えるね」と語った。(c)AFP/Daniel HICKS