【9月16日 AFP】各国から腕利きのカメラマンが集結しているリオデジャネイロ・パラリンピック。ジョアン・マイア(Joao Maia)もその一人だが、彼には奇妙な特徴がある。被写体を目にすることができないのだ。

「写真を撮るのに見る必要はありません。僕の目は心にあります」と話す盲目の写真家は、不可能とも思える離れ業をやってのける。作品は雑誌に載せられるレベルで、目の見える普通のプロが撮ったと言われてもなんの不思議もない。

 例えば、フランスの幅跳び選手、マリー・アメリー・レファー(Marie-Amelie Le Fur)の世界新記録のジャンプを写した1枚。そこには着地する選手の表情と、舞い上がった砂がきれいな弧を描くさまがとらえられている。写真共有アプリ「インスタグラム(Instagram)」の彼のアカウントには、すでに数千人のフォロワーがついている。

 現在41歳になるマイアは、28歳のとき、目の炎症の一つであるブドウ膜炎にかかって失明した。視力は一年をかけて衰えていき、やがては近くで見て色と輪郭を判別するのが精一杯になった。

 その後マイアは、サンパウロ(Sao Paulo)の郵便局で働きながら杖の使い方を学び、ブライユ式点字の講座を受講した。写真に興味を持つようになったのはこの頃だ。

「写真で大切なのは感性です。写真を使えば、自分が認識している世界、物の見え方、感じ方を描き出すことができる。これは奇跡のようなことだと思います」と、マイアは写真の魅力をそう語る。