【9月11日 AFP】シリア政府は10日、米国とロシアが仲介した同国の停戦合意を承認した。しかし、反体制派の主要組織はこの停戦計画に慎重な姿勢を見せている。

 9日にスイス・ジュネーブ(Geneva)でジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官とセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)露外相が長時間にわたる会談の末に達した合意により、米露が初めて合同でイスラム過激派組織に対する本格的な軍事作戦を実施する可能性も出てきた。

 しかし、外交関係者らが今回の合意をシリア内戦の終結につながるものだと自賛している間に、在英のNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によるとシリア北部の2都市で空爆により数十人が死亡した。

 イドリブ(Idlib)では市場を含む市内各所が空爆され、女性13人と子ども13人を含む計58人が死亡した。遺体は「認識出来ないほどに焼け焦げていた」という。誰が空爆を実施したのかは分かっていない。アレッポ(Aleppo)市内でも数か所が空爆されて民間人12人が死亡した。アレッポ県内のほかの場所でさらに18人が死亡した。

 ケリー国務長官とラブロフ外相は、イスラム教の祭日「犠牲祭(イード・アル・アドハ、Eid al-Adha)」の初日に当たる今月12日に停戦をスタートさせることで合意している。

 国営シリア・アラブ通信(SANA)は「シリア政府は停戦合意を承認した。人道的理由により停戦はまずアレッポで実施される」伝えた。また消息筋の話として、シリア政府は米露の合意の全体について把握していたと伝えた。

 しかし反体制派の主要組織「高等交渉委員会(HNC)」の報道官は「まだ正式な文書」を受け取っていないと述べた。

 HNC幹部のバスマ・コドマニ(Bassma Kodmani)氏はAFPに対し、停戦合意を「慎重に歓迎する」が、シリア政府が合意を遵守するかについては懐疑的だと述べ、「ロシアが、この停戦合意を遵守することが必要なのだとシリア政府を説得するのを待っている」と付け加えた。(c)AFP/Rana Moussaoui with Dave Clark in Geneva