【9月10日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2016)の男子シングルス準決勝で、大会第1シードのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)に敗れた第10シードのガエル・モンフィス(Gael Monfils、フランス)が9日、試合中に無気力なプレーをみせたと批判を浴びせられていることについて、相手を消耗させる「ロープ・ア・ドープ(rope-a-dope)」作戦だと主張した。

 ジョコビッチ戦で12連敗を喫していたモンフィスは、第1セットで0-5でリードを許すと、流れを変えようと試合に急ブレーキをかけた。一時はこれが功を奏して3ゲームを連取したものの、続く第2セットでは2度のブレークを喫し、ブーイングを浴びせられながら同セットを落とすと、モンフィスは本来のテニスに立ち戻った。

「ノバクの頭の中をのぞいてみようとしたんだ」と明かしたモンフィスは、「あっという間にリードを許してしまい、少し変化が必要だった。うまくいったよ。テニスのやり方は一つではない。相手の打球がさえていて、自分のサーブが良くなければ対抗策を示すだけだ。それでコートの中央に立った」と語っている。

「彼はダブルフォールトを犯し始めた。さらに、こっちが遅い打球を返すと彼がネットに出てきた。そこを抜いてやったのは、素晴らしい戦略だった。本来のテニスをしようとすれば、彼にしとめられるだけだ」

 最後の2セットでは挽回したモンフィスだったが、それでも「無気力」との批判にさらされ、米国の名選手ジョン・マッケンロー(John McEnroe)氏からは「プロにふさわしくない」と糾弾された。テレビ中継で解説者を務めていたマッケンロー氏が批判していたことについて問われると、モンフィスは怒りをあらわにし、自分は戦略通りにプレーしただけで、勝負に徹する選手であることを示したと強調した。

 試合後の会見で「くそったれ。俺は勝負に徹している」と激怒したモンフィスは、「みんながこのプレーは不自然じゃないかという質問をしてくる。最初の質問は、自分が戦っていないように見えるということだ。絶好調な相手の勢いを変えられるのは、常識に反したプレーをみせることだ」と語った。

 2011年大会と2015大会を制しているジョコビッチは、モンフィスの奇妙なアプローチにプレーを乱されたと認め、愚かにもわなにはまったと悔しさをにじませていた。

「彼が少し演技していると感じた場面や判断があり、受け入れがたいものはあったが、それは彼の作戦の一部だと思った」

「彼の言葉を信じるならば、0-5でリードを許して混乱していたということだね。少し無気力にみえたけど、それ以降は素晴らしいプレーをしていた」

(c)AFP/Dave JAMES