【9月7日 AFP】ザトウクジラの個体群の大半がこのほど、米国の絶滅危惧種リストから外れた。米海洋大気局(NOAA)が6日、明らかにした。国際的な保護活動が奏功したためという。

 海洋哺乳類に対する過去40年の米国および国際的な保護・保全計画により、ザトウクジラの14の個体群区分のうち9区分が史上最低水準からの回復を果たした。

 商業捕鯨によりザトウクジラの個体数が激減し、米国では1970年、すべてのザトウクジラが絶滅危惧に指定された。今日、絶滅危惧のリストに残るのは4区分の個体群のみで、もう1区分は「絶滅の恐れがある」と指定されている。

 NOAAによると、国際捕鯨委員会(IWC)が1982年に採択した、現在も効力のある商業捕鯨モラトリアムが、ザトウクジラの固体数の回復に決定的役割を果たしたという。

 絶滅が危惧される4区分のうち2区分の個体群は、米海域では一年間のある時期にのみ見ることができる。中米からの個体群は太平洋の米国西海岸(US West Coast)沖で餌を求め、また太平洋北西地域の個体群はベーリング海(Bering Sea)およびアリューシャン列島(Aleutian Islands)の付近に現れる。

「絶滅の恐れがある」と指定されているメキシコの個体群は、米国本土の西海岸とアラスカ(Alaska)に定期的に移動している。

 NOAAは 2010年にザトウクジラの状況について広範な見直しを開始。その結果ザトウクジラを14の異なる個体群区分に分類した。

 米国では8月、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が、ハワイ諸島(Hawaiian Islands)北西の数千種の希少海洋生物が生息する世界最大の海洋保護区を設立している。(c)AFP