【9月6日 AFP】イタリア南部に100歳を超える住民の数がひときわ多い小さな村が存在する──。5日に発表の研究結果によると、これらの高齢者には、循環系に影響を与える特定のホルモンの値が一般よりも低いことが分かったという。

 人口700人のアッチャロリ(Acciaroli)の村では、10人中1人以上の割合で100歳を超えている。村長による前回の集計時にはその数は81人に上った。この驚異的な寿命について、イタリアと米国の研究チームは、6か月にわたり調査を行った。

 アッチャロリ村は、息をのむほど美しい自然が広がるチレント(Cilento)沿岸部に位置する。米栄養学者の故アンセル・キーズ(Ancel Keys)氏が、オリーブオイルとともに新鮮な野菜や果物、魚をたっぷりと食べる地中海式ダイエットの健康効果について最初の洞察を行ったのもこの場所だったという。

 アッチャロリと周辺の小さな村々の住民らをめぐっては、非常に長生きであるだけでなく、欧米諸国でよくみられる認知症や心臓疾患、老化に伴う慢性疾患の患者の数も少ないようだ。

 伊ローマ(Rome)のラ・サピエンツァ大学(La Sapienza University)と米カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部(University of California, San Diego School of Medicine)の共同研究チームは、この長寿の秘密について、血管拡張作用のあるホルモン「アドレノメデュリン」の値が低いことが関係している可能性があると指摘した。

 研究チームは声明で、調査の対象者はアドレノメデュリンの分泌量が非常に少なく、このことが微小循環(毛細血管網)の最適な発達を助け、強力な保護因子として作用しているようだと説明している。高齢になるにつれ毛細血管は衰えがちだが、チレントに住む高齢者の毛細血管年齢は非常に若く、中には20代と同等の人もいた。

 研究ではまた、調査対象者の体内に長寿や健康にプラスの影響を与えていると思われる代謝産物が存在することも明らかにされた。ただ、これについての詳細は明らかにされなかった。

 研究チームは現在、村の人々を長寿としている要因として、遺伝的特徴が食生活や運動などの生活スタイルと結びついているのかについても調べている。

 チレントの住民らは、脳機能を改善するとされるローズマリーをほぼ毎日とっているほか、魚釣りやウオーキング、ガーデニングなど何らかのフィジカルなアクティビティーも日常的に行っている。こうした要素も、研究の対象となっている。(c)AFP