【9月2日 AFP】殺傷能力が高く一般市民が多数犠牲となることから世界の大半の国々で使用が禁止されているクラスター爆弾の製造を、米国で唯一継続していたメーカーが今週、製造中止の方針を発表した。

 米ロードアイランド(Rhode Island)州に本社を置く航空宇宙企業テキストロン(Textron)は先月30日、クラスター爆弾「センサー・フューズド・ウエポン(SFW)」の製造を今後は行わないとひそかに発表していた。製造中止の理由として、販売数の落ち込みを挙げている。

 SFWについて同社広報は1日、AFPに宛てた文書で「高性能かつ信頼性の高い空対地兵器で、米国防総省の政策にも現行の法律にも完全に準拠している」が、「受注が減少したことを考慮し、わが社の事業を顧客の今後のニーズに合わせて転換する決断をした」と説明した。

 クラスター爆弾は2008年に国際条約で使用が禁止されたが、米国やロシアなど一部の国は参加していない。

 国際NGO「ハンディキャップ・インターナショナル(Handicap International)」が1日に発表した報告書によると、2015年には世界で死者・負傷者合わせて417人がクラスター爆弾の犠牲になった。このうち、シリアとイエメンでの死者・負傷者は計350人超に上り、シリアではロシア軍がクラスター爆弾を使用している「有力な証拠」も存在するという。(c)AFP