【9月2日 AFP】アジア太平洋地域とアフリカでジカウイルス感染症(ジカ熱)の新たな流行地となる可能性のある地域に、地球の全人口の3分の1以上に当たる少なくとも26億人が暮らしていることが、2日に発表された研究論文で指摘された。インドだけでも12億人がジカウイルスの危険にさらされていると警告している。

 医学誌「ランセット感染症ジャーナル(Lancet Infectious Diseases)」に発表された同研究論文が指摘した地域は、ジカ熱の流行に襲われている南北アメリカ大陸およびカリブ(Caribbean)海地域のように、ジカウイルスの定着、拡散および伝播に適した気候と大量の蚊が存在する地域で、いまだ感染が発生していない地域だ。

 同研究は最も控え目なシナリオとして、ジカウイルス流行の地理学的範囲内の住民は、インドが最も多く12億人、その後に中国が2億4200万人で続き以下、インドネシア・1億9700万人、ナイジェリア・1億7900万人、パキスタン・1億6800万人、バングラデシュ・1億6300万人とみている。

 だが、これらは理論的な可能性で、実際にこれらの国でジカウイルス感染が流行するか否かは、住民が免疫をもっているか否かという、未知の要因によるところが大きい。以前から、散発的なジカ熱の症例はアフリカとアジアで報告されてきたが、ウイルスへの抵抗力を住民が獲得できるほど流行したのかどうかは分からない。

 今回の研究チームは、航空旅行のデータ、蚊の分布図、気候条件および人口密度、保健予算に関する情報を使用して、疫学的リスクのモデルを作成した。「米大陸でジカウイルス感染が激化・拡大するにつれて、いまや数百人、おそらく数千人の感染した旅行者が、世界の遠隔地までウイルスを運んでいる」と研究者らは論じている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux