【9月1日 AFP】(更新)米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は31日、メキシコを訪問し、エンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領と非公開の会談を行った。トランプ氏は会談後の共同記者会見で「米国は不法移民の流入を阻止するための壁を建てる権利がある」と改めて主張する半面、従来の持論だったメキシコ側に対する建設費負担の要求は持ち出さなかったと説明した。

 トランプ氏は首都メキシコ市(Mexico City)にある大統領府でペニャニエト大統領と並んで記者会見に臨み、「われわれは(米国とメキシコの)どちらの国も、自国の国境のどこにでも物理的障壁や壁を建設する権利があると認め、それを尊重する」と述べた。

 ただ、壁の建設費用を誰が支払うのかについては会談で触れなかったとした。トランプ氏はこれまでの選挙運動を通じて、メキシコ側に建設費を負担させる考えを一貫して主張してきた。

 一方のペニャニエト大統領はその後、簡易ブログのツイッター(Twitter)で「ドナルド・トランプとの会話の冒頭、メキシコが壁の費用を支払うことはないとはっきり伝えた」と明らかにした。

 トランプ氏は前日30日遅くに、メキシコを電撃訪問してペニャニエト大統領と直接会うと発表して米政界を驚かせていた。米国の隣国で緊密な同盟国でもあるメキシコのペニャニエト大統領はこれまで、トランプ氏を厳しく批判してきた経緯がある。

 ペニャニエト大統領はメキシコ側が壁の費用を負担することはないとはっきり拒否しており、トランプ氏についてはナチス・ドイツ(Nazi)の独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)やイタリアのファシスト、ベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)になぞらえて非難したこともある。(c)AFP