【8月30日 AFP】リオデジャネイロ五輪の7人制ラグビー男子で金メダルを獲得し、英雄的存在となったフィジー代表のベン・ライアン(Ben Ryan)ヘッドコーチ(HC)が、契約延長を希望する同国から土地や称号などが与えられていることがわかった。

 リオ五輪で同国史上初となるメダル獲得に貢献し、フィジーで最も尊敬を集める存在となった英国人のライアンHCにはすでに同国の最高勲章が授与され、目下指揮官とその家族にフィジーの市民権を与える計画も進行している。

 現在44歳のライアンHCは、五輪で成功を収めたことで世界中から魅力的なオファーが届いており、別の場所での挑戦を目指していることも示唆している。

 当局に十分な資金のないフィジーだが、ライアンHCの意思を変えるためにできることはすべてやっているという。すでに国内14州のうちの一つ、セルア(Serua)の住民が29日、ライアンHCに3エーカー(1.2ヘクタール)分の区画を贈与しただけでなく、同国において族長を意味する「ラトゥ(Ratu)」の称号も与えている。

 フィジー様式の整然とした生活を好んでいることを隠さないライアンHCは、セルアの人々に対して、分析担当チームや豊富な資金を持つ国外のチームとは異なり、フィジー代表には有り余るほどの才能があり、選手こそが彼にとっての財産だったと話している。

「われわれは分析担当チームやコンピューターを持たなかった。なぜなら、われわれには強力な12人のプレイヤーがいたからだ」

 自身の妻もフィジーに残って働くことを希望しているというライアンHCは、もし移民局との話し合いがうまくいき市民権が取得できれば、フィジーを永久に離れるという考えを変えることができるかもしれないという。

「もし市民権が手に入れば、彼女はすぐにでもここで働くことが許可されることになる。そうしたことが、われわれがここに帰ってくる可能性なのかもしれない」

「首相もすでにそのことについて話してくれている。私はただ、彼に市民権が欲しいとする旨を伝え、あとは彼らが実行するだけだ」

「そう。もし私が去る前に市民権が取得できれば素晴らしい。仮に実際に帰ってくることになった時、私と妻の入国審査やビザの問題などがかなり簡単なものになるからね」

(c)AFP