【8月28日 AFP】イタリアの検察当局は、24日に同国中部で発生した地震により多数の死者が出たことについて、コスト削減のために手抜きした増改築工事が一因となった可能性があるとの見解を示した。

 300人に近い死者を出した今回の地震について疑問の声が高まる中、検事のジュゼッペ・サイエバ(Giuseppe Saieva)氏は、基準を満たしていないと疑われる工事が致命的な被害を招いた疑いがあり、工事を発注した建物の所有者の責任が問われる可能性があると示唆した。

 首都ローマ(Rome)と震源地の中間に位置するリエティ(Rieti)の検事であるサイエバ氏は、今回の地震の被害を、単純に避けようのない自然災害として扱うことはできないとの認識を明らかにした。全国紙レプブリカ(La Repubblica)に対して同氏は、「もし日本で建てられるような建物だったら、倒壊することはなかっただろう」と語った。

 24日の地震発生から数時間後、サイエバ氏は被害が最も深刻だった山間部の小さな集落アマトリーチェ(Amatrice)へ向かい、被害状況を視察した。また同氏は、3階建て住宅の崩れた隔壁に注目。「セメントより砂を多くしてコストを下げていたとしか思えない」と述べ、過失致死の疑いもあるとして予備調査に着手した。

 工学や建築の専門家らは、住宅の増改築に比較的安価なセメント製の梁(はり)が広く使用されていることが、多数の建物が倒壊した理由の説明としてあり得るとしている。(c)AFP/Angus MacKinnon and Ljubomir Milasin