【8月27日 AFP】2012年にイタリア中部トスカーナ(Tuscany)州ジリオ(Giglio)島沖で座礁し32人が死亡したクルーズ船、コスタ・コンコルディア(Costa Concordia)号に乗り合わせ、その4年後の今週、少なくとも281人の死亡が確認されているイタリア中部地震の震源地付近で難を逃れた女子学生が25日、美人コンテストで入賞を果たした。

 24日未明の地震発生時、ニコーレ・ディマリオ(Nicole di Mario)さん(20)は、壊滅的被害を受けたアマトリーチェ(Amatrice)村から18キロ離れたボルボーネ(Borbone)にある自宅で就寝中だった。

 地元紙コッリエーレ・ディ・リエティ(Corriere di Rieti)の取材に応じたディマリオさんは「あらゆるものが揺れていて、すごく怖かった。うちを飛び出て、中にはもう戻らなかった。その夜は家族で、まずサッカー場のグラウンドで、それから野原で過ごした」と答えている。

 教育学部の学生であるディマリオさんは、祖母の葬儀に参列するためボルボーネにある実家に帰省中だった。葬儀が行われるはずだった教会は安全性に不安が生じたため、式は地震が起きた翌日に村の広場で執り行われたという。

 今回の地震でディマリオさんの記憶によみがえったのは、2012年1月にジリオ島沖で座礁、転覆したコスタ・コンコルディア号に乗船していたときの記憶だ。「ドラマを見ているような恐ろしい出来事だった。船が横倒しになってしまい、私は船内の寝室に閉じ込められた」「救命胴衣をもらうために並ばなければならなかったけれど、飛び上がって最後の1枚を手に入れた」

 しかし、今回の地震で「あの晩、起きていることを目の前にしたときの無力感の方が大きかった」という。

 ディマリオさんは25日夜にミス・ウンブリア(Umbria)州コンテストに参加。優勝は逃したものの、ミス・エレガンス賞に選ばれた。(c)AFP