■男女共用部屋

 いま北大西洋条約機構(NATO)事務総長を務めるイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)氏が首相だった2013年、両性に徴兵を適用する法案がほぼ全会一致で議会を通過した。

 ノルウェーは現在までの5代の国防相のうち4人が女性で、NATO加盟国かつ欧州の国として初めて男女両方の徴兵を開始した。男女両方を徴兵しているのは世界でもイスラエルなど少数の国だけだ。

「女性がいると作戦上の利点があります。たとえば情報収集で男性では近づくことのできない人々に接近することができます」とベルグルンド中佐は語った。

 ノルウェー軍が毎年必要としている新兵は1万人弱と、徴兵の対象となる6万人よりもずっと少ない。つまり、実際に兵役に就くのは最もやる気のある人だけなのだ。ノルウェーで兵役は労働市場で高く評価される経歴とみなされることが多い。

「兵役に就くことで自立することができます。少女も少年も同じ機会を得ることは良いことです」と新兵のマリアンヌ・ウェスタム(Marianne Westum)さん(18)は語る。「チームの一員として働くことを学び、ほかの分野の人々と友達になってもっと自立できるようになりたいです。要するにもっと成長したいです」

 マリアンヌさんは兵舎の部屋をもう1人の女性、そして4人の男性とシェアしている。迷彩服や軍が支給した水筒が金属製のロッカーにきちんと入れられており、女性の存在をうかがわせるものはブラジャーとハンドバッグだけだ。