【8月23日 AFP】北アフリカ・モロッコのイスラム主義運動「統一と改革の運動(MUR)」幹部の男女2人が、浜辺で「性的な姿勢」を取っていたために逮捕されたとする報道を受け、停職処分を受けた。

 MURは22日、党指導部の緊急会議後に声明を発表し、ムーライ・オマル・ベンハマド(Moulay Omar Benhammad)氏(63)、ファティマ・ネジャール(Fatima Nejjar)氏(62)の2人がMURの「運動、方向性、価値観の原則に背き」「極めて深刻な過ち」を犯したと非難し、運動の全ての組織で停職処分とすると発表した。

 2人はいずれも2011年から連立与党を率いるイスラム穏健派政党「正義発展党(PJD)」の宗教・思想部門に相当するMURにおいて、最高指導者に次ぐ副指導者の立場だった。

 民間のウェブサイト「アハダース(Ahdath)」によると、2人は今月20日、首都ラバト(Rabat)から南に約60キロ離れたモハメディア(Mohammedia)のビーチで警官に拘束された。2人は止まっていた車の中で「性的な姿勢」でいたところを発見されたという。

 ベンハマド氏は既婚者で7人の子どもがおり、ネジャール氏は夫と死別し6人の子どもがいる。2人はすでに釈放されているが、9月1日に裁判所へ出廷する。アハダースによると、ベンハマド氏には2人を拘束した警察官に対する「買収未遂」、ネジャール氏には「姦通の共謀」の疑いが持たれている。

 ベンハマド氏は、ネジャール氏とは慣習法で婚姻関係にあると弁明した。アハダースによれば、ベンハマド氏の妻は姦通罪で訴える姿勢は見せていない。モロッコの法律では夫婦間以外の性交渉に禁錮1~12月の刑が科される場合がある。

 一方、PJDに近い別のウェブサイト「オムク・マグリビ(Al-Omq al-Maghribi)」はベンハマド氏に近い筋の情報として、ベンハマド氏本人は性的な姿勢は一切取っておらず食事をしていただけだと話していると伝えている。

 モロッコのソーシャルメディアは、女子学生に「誘惑と悪徳」に負けないように説くネジャール氏の動画がアップロードされるなどこの件で多いに盛り上がっている一方、今年10月に行われるとみられる議会選を前にMURとPJDをおとしめるための陰謀ではないかとの指摘も出ている。(c)AFP