【8月23日 AFP】ロシア人にとって、夏の到来を身をもって感じる年中行事がある──それは、広大な同国の多くの世帯を悩ませる「温水の供給停止」だ。

 太平洋(Pacific Ocean)に面した極東のウラジオストク(Vladivostok)から、西は欧州連合(EU)と境界を接するカリーニングラード(Kaliningrad)まで、毎年に夏になると数百万人もの人々が、震えながらの冷水シャワーの使用を余儀なくされる。

 毎年夏季の温水の供給停止は、旧ソ連時代に始まった。当局は、老朽化する水道管の修理を理由に、地下に埋設されている温水供給網を一時停止する必要があると説明しているが、ボイラーを自費設置できない住民にとっては、夏恒例の悩みの種となっている。供給停止は、数週間にわたることもあるという。

 当局の説明を「仕方ない」と従順に受け入れる人も多い一方で、温水がなくなることに耐えられず、あらゆる手を尽くして乗り切ろうとする市民も少なくない。毎年この時期になると、インターネットの交友サイトなどには、この問題に対する対処方法や経験談などが多数投稿されるという。

 温水供給の遮断理由が明確に示されることは少ないが、各自治体は口をそろえて、厳しい冬の間に酷使されたインフラを修理するための重要な期間だと主張する。(c)AFP/Marina KORENEVA