【8月18日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は18日公表した報告書で、シリア当局が複数の刑務所で「大規模な」拷問を行っていると指摘した。手法には殴打や電気ショック、レイプ、精神的虐待などが含まれ、「人道に対する罪」に該当すると批判。2011年3月の内戦勃発以降、勾留中に死亡した人が1万7700人余りに達するとの推計も明らかにした。

 推計通りなら、毎月平均300人以上が死亡している計算になる。政府に反対していると見なされた人は誰であっても、恣意(しい)的な拘束や拷問、強制失踪、勾留中の死亡の恐れがあるとアムネスティは懸念を示している。

 報告書は、一般市民を中心に拷問などを受けた65人を対象に行われたインタビューを基に作成された。情報機関の勾留施設や首都ダマスカス(Damascus)近郊のサイドナヤ軍刑務所(Saydnaya Military Prison)で、これらの人々が経験した「恐ろしい虐待や非人間的な待遇」が詳細に説明されている。

 大半の人が、勾留中にほかの人が死亡するのを少なくとも一度は目撃したという。

■「大きな血だまり」

 報告書によれば、勾留者は刑務所に到着すると、看守らから「歓迎パーティー」と称してシリコン製の棒やホースなどで殴打されることはよくある。

 人道支援物資を搬送中に拘束されたという元勾留者のサメールさんは、看守らは勾留者を動物のように扱い、できるだけ人間らしく接しないことで、勾留者の人格を破壊しようとしたと証言。「誰かが死ぬのを見たことはないが、大きな血だまりを見たことはある」と語っている。

 報告書は、こうした拷問が「反政府派と疑われる人に対する組織的かつ広範な攻撃の一環として実施されており、人道に対する罪に該当する」と指弾。関係者を法の裁きにかけるべきだと主張している。(c)AFP