【8月18日 AFP】現役の航空機としては世界最大とされる「エアランダー10(Airlander 10)」(全長92メートル)が17日、英イングランド(England)ベッドフォードシャー(Bedfordshire)州のカーディントン(Cardington)から初飛行を行った。エアランダー10は飛行機と飛行船のハイブリッド航空機。初飛行は当初4日前に予定されていたが、技術的な問題で延期されていた。

 カーディントン飛行場から飛行船が飛び立ったのは、悲劇的な飛行に終わった飛行船「R101」以来85年ぶり。R101は1930年10月、カーディントンを離陸した後にフランスで墜落。48人が犠牲になり、それ以降英国での飛行船開発は事実上終止符が打たれていた。

 17日のカーディントン飛行場には大勢の人たちが集まり、拍手と歓声で空へ飛び立つエアランダー10を見送った。

■有人で最長5日間飛行

 エアランダー10は元来、米軍向けの監視飛行船として開発されたもの。だが開発したハイブリッド・エア・ビークルズ(HAV)社によると、貨物輸送など商業用途にも使用可能だ。

 HAVによれば、現役の航空機の中では最大で、飛行の最高高度は4880メートル、最高速度は時速148キロメートル。機体内にはヘリウムが充填されており、無人なら最長2週間以上、有人でも5日間飛行できる。開発にあたっては英国政府から250万ポンド(約3億2600万円)の補助を受けた。

 HAVのスティーブン・マグレナン(Stephen McGlennan)最高経営責任者(CEO)はエアランダー10について、ヘリコプターの技術よりも安価でかつ環境に優しいと説明している。(c)AFP