【8月16日 AFP】中国は、欧米型の生活様式への転換に起因する心臓疾患のまん延に直面しているとする研究論文が15日、発表された。近年、注目されている問題だが、その傾向に衰える兆しは全くみられないという。

 15日の米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology」に発表された今回の研究成果は、中国におけるさまざまなリスク要因を数十年間にわたって分析した、この種としては初となる大規模調査の結果に基づくものだ。

 中国では過去20年間にわたり心臓病が増加傾向にあり、高血圧、高コレステロール、高血糖、過体重、さらには喫煙者や運動不足の人の数も増えている。

 調査では、1991~2011年における中国在住2万6000人のデータを分析し、2011~2031年にこの傾向がどのように変化するのかを予測した。

 論文の筆頭執筆者で、米ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard University T.H. Chan School of Public Health)栄養学部科学研究員のリ・ヤンピン(Yanping Li)氏は「高血圧の増加傾向の継続、長時間の座りがちな生活様式や肥満の増加、食生活の悪化などが原因で、今後20年間に、心臓発作や脳卒中の新規患者数が数百万人に達することを、今回の予測は示唆している」と述べた。

 今回の研究では、2011年に中国で発生した心臓病患者の大半が、高血圧、高コレステロール、高血糖に起因するもので、心臓発作や脳卒中の新規患者約500万人につながることが判明した。

 中でも最大の要因は高血圧で、データの最新年である2011年に発生した心臓発作や脳卒中の約4割に関連していた。中国の高血圧症は、1979年の総人口の7.7%から、2010年には33.5%に増加しており、米国と肩を並べる水準に達している。

 2011年に死亡した35歳以上の中国人680万人のうち、全体の44%に当たる約300万人が循環器疾患に関連していた。喫煙や運動不足も、心臓病の増加との関連性が認められた。

 中国での食生活についても悪化の傾向がみられ、赤身肉、塩分、糖分の多い飲料の摂取量が増加傾向にあることが、今回の研究で分かった。(c)AFP