【8月13日 AFP】米軍が支援するクルド人とアラブ人の合同部隊「シリア民主軍(SDF)」と、在英のNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は12日、「イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が同日、シリア北部でISが拠点としていたマンビジ(Manbij)から逃走する際に「人間の盾」として利用するために一般市民約2000人を拉致したと述べた。

 同監視団はISによる拉致が、ロシアとシリア政府軍が同国第2の都市アレッポ(Aleppo)の反体制派を空爆し、20人が死亡した後に行われたものであるとしている。

 SDFは先週、マンビジからIS戦闘員のほとんどを追放していたが、数十人のIS戦闘員が残り、激しい抵抗を続けていた。ISは12日にマンビジ北部からISの支配下にあるトルコ国境付近の町ジャラブルス(Jarabulus)に向かって逃走し、その際に一般市民を拉致して連行したという。

 SDFを構成する主な勢力の一つ、マンビジ軍事評議会( Manbij Military Council)のシャーファン・ダルビッシュ(Sherfan Darwish)報道官によると、「マンビジから撤退する際、ダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)の戦闘員は、アルシルブ(Al-Sirb)地区から一般市民2000人を拉致した」と述べた。

 ダルビッシュ報道官は、「ISはジャラブルスに逃げる際にわれわれから攻撃されないよう、拉致した一般市民を人間の盾として利用した」と述べ、人質の中には女性や子どもも含まれていると付け加えた。

 シリア内戦の情報を同国内の情報源から得ているシリア人権監視団も、ISは約2000人の一般市民を没収した車に乗せてジャラブルスに向かったと報告している。

 ISは今年1月、シリア東部のデリゾール(Deir Ezzor)県の一部を侵略した際、女性と子どもを含む一般市民400人以上を拉致し、その後うち270人を解放していた。(c)AFP/Rouba El-Husseini and Layal Abu Rahal