【8月12日 AFP】ドイツ政府は11日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出した襲撃事件が国内で2件相次いだことを受けた新たなテロ対策を発表した。過激派戦闘員からドイツ国籍を剥奪する提案も含まれ、論議を呼びそうだ。

 一連の対策はトマス・デメジエール(Thomas de Maiziere)内相が策定したもので、有罪判決を受けた移民の国外退去手続きの迅速化や、警察の大幅増員などが盛り込まれている。

 デメジエール内相は「外国でテロ組織に加担して戦闘に参加しているドイツ国民で、別の国の市民権を持っている者については、ドイツ国籍を剥奪すべきだ」と述べている。

 ドイツ情報当局の推計では、シリアとイラクの過激派組織の一員として戦闘に加わるために出国したドイツ人は約820人に上る。

 このうち、およそ3人に1人が母国に戻ってきているとされ、こうした帰国者が欧州でもたらす脅威をめぐって懸念が高まっている。

 今回の厳しいテロ対策は大連立政権や議会で承認を受ける必要があり、特に国籍剥奪案は物議を醸す恐れがある。

 隣国フランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領も、昨年11月13日に首都パリ(Paris)で発生した同時襲撃事件後に、有罪判決を受けた「テロリスト」のフランス国籍を剥奪することを提案。しかし無国籍者を生み出しかねないと懸念する声が上がるなど激しい論争に発展し、最終的にこれを断念した経緯がある。(c)AFP/Hui Min NEO