【8月11日 AFP】ドイツ・バイエルン(Bavaria)地方、緩やかな起伏の牧草地が松林に突き当たり、水平線にアルプス(Alps)山脈の稜線が続く、人口2600人のビルトポルズリート(Wildpoldsried)の村はずれに、風力タービンが並んでいる。

 古い教会や伝統的なビアガーデンがあるこの村は、バイエルンの地方部を象徴するような村だ。だが一方で、ドイツのグリーンエネルギー革命の最先端を走る村でもある。

「再生可能エネルギーの村」として知られるこの村では、主に風力と太陽光、バイオマスで電力の全てまかなっている。余った電力は国の電力網に売却し、利益も上げている。

 ドイツでは近年、代替エネルギー推進のために多額の補助金や電力の買い取り価格保証が行われており、同国の他の地域と同じく、この村もこれらを活用した。

 地元の同意を得るための方策はとてもシンプルなものだった。村全体を巻き込んで、利益をみんなで分かち合うというものだ。

■住民みんなで利益

 地元の55歳の男性は、「私は風力発電に10万ユーロ(約1100万円)投じた」、「毎年、出資額の6%ほどを利益として受け取っている」と話した。

 アルノ・ツェンゲルレ(Arno Zengerle)村長(59)は「村民の参加が最も重要なことだ」、「村民が再生可能エネルギーから利益を得られなければならない。外部の個人投資家だけが参加するのだと、うまくいかないのだ」と述べた。

 これまでのところ、ビジネスは順調だ。村では昨年、消費量の5倍の電力を生み出した。今年の目標は7倍にすることだという。(c)AFP/Pauline CURTET