【8月2日 AFP】南米ベネズエラの国家選挙委員会(CNE)は1日、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の罷免(リコール)を求める国民投票の実施手続きを進めるために必要な20万人分の2倍にあたる署名を、野党側が集めたと発表した。野党連合、民主統一会議(MUD)は、CNEに対し2日以内に請願書を提出すれば、正式に国民投票実施手続きの開始を請求できる。

 ただし請願書が提出されたとしても、実際に国民投票が実施されるまでの道のりは長い。今後、CNEは15日以内に回答、その後、15営業日内に2回目の署名の日取りを決める。2回目の署名で3日間のうちに400万人の署名が集まれば、国民投票の実施日が3か月以内に設定される。リコールには、13年の大統領選でマドゥロ氏が獲得した約750万票を超えるリコール賛成票が必要だ。

 また今回の署名について、マドゥロ政権側は多くの不正があったと主張しており、CNEでは1000人分以上の署名に不正の疑いがあるとして調査している。

 豊富な原油埋蔵量で繁栄を謳歌(おうか)したベネズエラは現在、経済破たんの危機にあり、深刻な食料不足やハイパーインフレ、襲撃や強奪などが起きており、野党側はマドゥロ大統領に責任があると非難している。そうした中、マドゥロ大統領はさらに非常事態宣言を発令し、食料の生産・流通に関する広範な権限を軍に与えた。

 ベネズエラ経済は主要輸出品目である石油の国際価格が暴落したことにより危機に陥り、深刻な不況は今年で3年目を迎える。インフレ率は世界で最も高く、今年は700%を超える見込みだ。恐慌はマドゥロ大統領と前任者の故ウゴ・チャベス(Hugo Chavez)前大統領の下で17年間続く社会主義政権を脅かしている。最近の世論調査では、ベネズエラ人の64%がマドゥロ大統領のリコールに賛成票を投じると答えている。

 野党側は大統領リコールを求める国民投票を来年1月10日までに行いたい構えだ。それ以降の場合、リコールで賛成派が勝利しても、マドゥロ氏が抜てきした副大統領が任期の残りを務めることになる。(c)AFP/Maria Isabel SANCHEZ