【8月1日 AFP】ロシア選手のリオデジャネイロ五輪除外を見送ったことで批判を浴びている国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は31日、ロシア政府から圧力を受けていたのではないかという疑惑を否定した。

 バッハ会長は、カナダ人法学者リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の報告書でロシアが国家ぐるみで組織的なドーピングを行っていたことが明らかになったあと、同国の政府とは一切接触していないと主張している。マクラーレン氏の報告書は、ロシア選手のリオ五輪出場禁止を求めていたが、IOCは各競技連盟に選手の出場禁止に関する判断を委ねる決断を下した。

 IOCの決断に対しては世界中から多くの批判が集まっており、女子スピードスケートのクラウディア・ペヒシュタイン(Claudia Pechstein、ドイツ)がバッハ会長は「政治的に買収された」とすれば、元女子競泳選手のシャロン・デイビーズ(Sharron Davies、英国)氏は、IOCがウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と「親しすぎる」と非難している。

 報告書が発表されてから判断を下すまでの約1週間で、ロシアの政府高官や関係者と接触したかとの質問に対して、バッハ会長はきっぱりと「ノー」と答え、「マクラーレン報告書が公表されて以降、ロシア政府の関係者と話したことはない」と語った。

 IOCの決断はロシア選手やほかの選手の出場可否を曖昧な状態にし、大会開幕を8月5日に控えた現在でも、ロシア代表団の正式な出場選手は確定していない。それでもバッハ会長は、こうした一連の問題がリオ五輪の価値に損害を与えるようになるとは考えていないとの見解を示している。

「私たちが決断を下さなかった場合、選手たちがどのような状況に置かれていたのかを想像してほしい。そして、もし私たちが別の決断を下していた場合に生じたであろう法的問題を考えてみてほしい」

「私たちの置かれている困難な状況を人々が理解してくれると信じている。簡単な決断ではなかったこと、そして潔白な選手たちを守るために、私たちがベストの決断をしたということを分かってくれると思う」

(c)AFP