【7月31日 AFP】ブラジルのグアナバラ湾(Guanabara Bay)でリオデジャネイロ五輪のセーリング競技が行われる際には、テレビカメラはまぶしく輝く熱帯の海や山々といったテレビ中継向きの映像を捉えるだろう。幸い、おぞましい異臭が何十億人もの視聴者の鼻を突くことはない。

 リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)とグアナバラ湾周辺の他の町には、900万人余りが暮らしている。その生活排水のうち、下水処理された上で湾に排出されるのは、良く見積もっても半分に過ぎない。

 信じ難いことだが、セーリング選手が競う会場は、研究者たちが薬剤耐性菌「スーパーバクテリア」が検出されたと報告している「巨大な汚水槽」であるという事実は、主な懸念事項になっていない。

 選手たちが不安視しているのは、レースを妨げ艇やメダル獲得の夢も台無しにしかねない、海上に浮いている大きな異物だ。

 リオ都市圏のごみ収集は下水処理と同様に進んでいないことから、湾にはポリ袋やペットボトル、家具類、動物の死骸があふれている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は今週、グアナバラ湾に浮いている人の遺体の画像を掲載した。また、6月には湾のすぐ外側に位置する、人気の観光地コパカバーナビーチ(Copacabana Beach)に、人体の一部が打ち上げられていた。(c)AFP