【7月29日 AFP】ベトナム・ホーチミン(Ho Chi Minh)の空港当局者が、中国人旅行者のパスポートに侮辱の言葉を落書きしたとされる問題で、中国はベトナムに対し調査を要求した。落書きは南シナ海(South China Sea)をめぐる領有権問題に関連して言及されたものとみられる。

 中国のオンラインメディアでは今週、中国が南シナ海に独自に設定している境界「九段線」と同国の国土を描いた地図のそばに、「くそったれ」と落書きされた写真が話題を集めた。南シナ海をめぐっては、ベトナムも領有権を主張している。

 ホーチミンにある中国領事館のウェブサイトに掲載された声明によると、苗字を鍾(Zhong)というこの中国人女性は、23日にベトナムに入国したが、「国境を越える際に落書きされた」ことに気付いたという。

 領事館は、この出来事を「恥知らずで卑劣な行動」と非難し、ベトナム当局に対し問題提起したと述べ、「中国は激怒している」と付け加えた。

 また、中国側はベトナムに対し調査を要求し「責任者に重大な処罰をする」よう求めた。「ベトナム側は調査に同意した」という。

 ベトナム当局のコメントは得られていない。

 一方、ベトナム国営メディアが報じたところによると、今月に入り、ベトナム中部のダナン(Danang)と南部フーコック(Phu Quoc)島で、入国審査官が「九段線」の描かれたパスポートに入国スタンプを押すのを拒否するという出来事が起きていた。(c)AFP