【7月29日 AFP】国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のシリア支部として活動してきた武装組織「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」は28日、アルカイダからの離脱を発表した。

 同組織のアブムハンマド・ジャウラニ(Abu Mohamad al-Jolani)最高指導者が、中東衛星テレビ局アルジャジーラ(Al-Jazeera)が放送した動画の中で発表した。同指導者が公に姿を現したのはこれが初めて。

 ジャウラニ指導者は、組織の名称を、アラビア語で「シリア征服戦線」を意味する「ジャブハト・ファタハ・アルシャム(Jabhat Fateh al-Sham)」に改め、戦闘員らをシリアの他の主流武装組織に合流させる意向を表明した。

 ジャウラニ指導者は、「アルカイダ司令官らが関係解消の必要性を理解してくれた」ことに謝意を示した上で、新体制では「国外組織とは一切つながりを持たない」と言明した。

 イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の主要ライバル組織であるアルヌスラ戦線は、外国軍の空爆の標的になることを避けるため、ISから距離を置こうと努めており、アルカイダからの離脱は数日前からインターネット上でささやかれていた。

 シリア情勢をめぐっては先週、米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相が、破綻しつつある停戦合意を立て直しアルヌスラ戦線やISなどのイスラム過激派と戦うための「具体的な措置」を講じることで合意していた。

 専門家らは、アルヌスラ戦線のアルカイダ離脱について、米露合意による圧力の高まりを受け、組織のイメージを一新して自己防衛を図る狙いがあるとみている。(c)AFP/Layal Abou Rahal