【7月28日 AFP】大西洋およびメキシコ湾(Gulf of Mexico)の沿岸にある米軍基地について、地球温暖化が進むにつれ、浸水や強力な暴風雨に対する脆弱(ぜいじゃく)性がますます高まっているとする研究報告が27日、発表された。

 米科学者団体「憂慮する科学者同盟(UCS)」が発表した今回の報告書では、調査対象となった米軍基地18施設の多くが、今後数十年の間に、海面上昇が原因で土地や戦略的資産を失うリスクを抱えていることが指摘された。

 報告書の共同執筆者で、UCSの顧問科学者を務める主席アナリスト、クリスティ・ダール(Kristy Dahl)氏は「2050年までに、これらの基地の大半が、今日経験している発生数の10倍以上に及ぶ浸水に見舞われる見通しだ」と話す。そして、「2070年には、数か所を除くすべての基地が、毎日1回から2回の浸水に見舞われると予測される。恐ろしいことに、これすら、最悪事態のシナリオではない」とされた。

 報告書の分析は、海面上昇に関する2つの異なる予測シナリオと、米フロリダ(Florida)州からメーン(Maine)州までの範囲に存在する米軍基地に対して、海面上昇がどのような影響を及ぼす可能性があるかに基づいて行われた。

 報告書によると、1つ目の「中度の」予測シナリオでは「時間とともに増加する中程度の氷床融解速度を前提としており、これにより今世紀末までに、全世界の海面が2012年の水準から最高で1.13メートル上昇すると推定される」という。

 もう一つの予測シナリオでは、「氷床の減少がより急速に進行し、2012年水準から最高1.9メートルの海面上昇が(2100年までに全世界で)起きると予測される」とある。

 報告書では、日常的な浸水による土地の損失で最も深刻な影響が予想される基地について、フロリダ州のキーウエスト海軍航空基地(Naval Air Station Key West)、米バージニア(Virginia)州のラングレー・ユースティス合同基地(Joint Base Langley-Eustis)と米海軍オセアナ・ダム・ネック基地(NAS Oceana Dam Neck)、米サウスカロライナ(South Carolina)州パリスアイランド(Parris Island)にある海兵隊の新兵訓練基地(MCRD)などが挙げられた。