【7月28日 AFP】フランスの主要メディア各社は27日、テロ事件の実行犯の写真を今後は使用しない方針を発表した。死亡した犯人らの「美化」を避けるためだとしている。

 報道自粛を発表したのは、国際ニュース放送局のRFIとフランス24(France 24)、同国最大の24時間ニュース専門放送局BFMTV、日刊紙のルモンド(Le Monde)とラクロワ(La Croix)など。またラジオ局のヨーロッパ1(Europe 1)はさらに踏み込み、「テロリストの氏名報道」を自粛するとしている。

 ルモンド紙のジェローム・フェノグリオ(Jerome Fenoglio)編集長はAFPに対し、ニース(Nice)で起きたトラック突入事件の後、実行犯とされるモハメド・ラフエジブフレル(Mohamed Lahouaiej-Bouhlel)容疑者が筋肉を見せつけたり、サルサダンスを踊ったりしている写真が拡散したことに言及し、「われわれは、犯人の過去を写した一連の写真をとても不快に感じた」と説明。「事実や犯人の人物像を隠したいわけではない。それを理由に、われわれは氏名の報道自粛には賛成していない」と述べた。

 BFMTVのエルベ・ベルー(Herve Beroud)報道局長はAFPの取材に対し、「写真はとても象徴的で、繰り返し見せられるものだ。写真によって、テロリストが犠牲者と同列に置かれることも多い」と述べた。

 一方、左派日刊紙のリベラシオン(Liberation)は、犯人の氏名と写真の報道を続けると表明。同紙のジョアン・ウフナゲル(Johan Hufnagel)編集次長は「テロリストの写真掲載とテロリストの美化は同じではない」と語っている。(c)AFP/Séverine ROUBY Fiachra GIBBONS