【7月26日 AFP】米連邦捜査局(FBI)は25日、民主党全国委員会(DNC)幹部らのメールが流出した問題で捜査を始めたことを明らかにした。開催中の党全国大会で大統領候補指名を受けるヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官の陣営は、ロシアのハッカーが関与したと指摘。ロシア政府が米国の大統領選に影響を及ぼそうとしていると非難している。

 内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」で暴露されたメールには、民主党幹部が候補指名争いでクリントン氏と争ったバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員の選挙活動の妨害を図る内容が含まれていた。25日に開幕した党大会は混乱に見舞われ、DNC委員長が辞任に追い込まれる事態となった。

 FBIは「この手の情報漏えいはわれわれが極めて深刻に捉えているものだ。引き続き捜査を行い、サイバー空間を脅かす者には責任を負わせる」としている。

 今回の問題について、ホワイトハウス(White House)と国務省はいずれもロシアが関与しているかの調査はFBIに委ねる考えを示す一方、サイバーセキュリティーはかねて米露間の懸案の一つだったとも強調している。

 ジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)大統領報道官は「米国のサイバーセキュリティーの脆弱性につけ込もうとしている国家や犯罪者が多数存在し、それにはロシアも含まれる」と述べた。

 一方、女性として米国史上初めて主要政党の大統領候補に間もなく正式指名されるクリントンの陣営は、党内の混乱を収束させようとしており、即座に名指しで批判した。「ドナルト・トランプ(Donald Trump)氏を有利にする目的でロシアのハッカーが実行したと専門家から報告を受けた」。陣営の選挙活動委員長ロビー・ムーク(Robby Mook)氏は米テレビ局ABCにこう語った。

 一部の専門家もロシアの関与を指摘しているが、慎重に調査すべきという声も上がっている。(c)AFP/Laurent BARTHELEMY