【7月24日 AFP】今年11月に行われる米大統領選で民主党候補指名を確実にしたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官から副大統領候補に指名されたバージニア(Virginia)州選出のティム・ケーン(Tim Kaine)上院議員(58)は23日、副大統領候補に指名された後としては初めてクリントン氏の選挙集会に出席し、演説した。

 フロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)で開催された集会でケーン氏は、共和党指名候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏による外交政策は危険であると批判し、流ちょうなスペイン語を披露して聴衆を沸かせた。

 前日に副大統領候補に指名されたばかりのケーン氏は時折歓声や笑い声、拍手が上がった演説で多くの聴衆を魅了した。

 クリントン氏はケーン氏を、政治のベテランであり、共和党のトランプ氏とその副大統領候補のマイク・ペンス(Mike Pence)インディアナ(Indiana)州知事とは対照的な人物だと紹介した後、ケーン氏の背後に腰かけ、演説を聞きながら笑顔を見せていた。

 トランプ氏はエゴに満ちた自慢屋と評されることが多いが、ケーン氏はこの日の演説で、明敏で豊かな知識を持ち、非常に控えめな人物だとの印象を与えた。

 ケーン氏は外交分野の経験が豊富で、現在、上院の外交委員会と軍事委員会の両方の委員を務めている。この日は、トランプ氏が最近、自分が大統領に就任した場合はロシアがバルト三国を攻撃しても「(バルト三国が米国に対する)義務を果たしているかを判断してから」援助をすると述べたことに対して「これはウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin、ロシア大統領)に攻撃してくるよう促すオープンな招待状だ」と酷評した。

 またケーン氏は、聴衆に向かって「ビエンベニドス ア トドス」(皆さんを歓迎します)とスペイン語で挨拶し、また自分は「フェ、ファミリーア イ トラバーホ」(信仰と家族、仕事)を大切にする価値観を持っていると流ちょうなスペイン語で語った。

 ケーン氏を副大統領候補に選んだクリントン氏の選択について、民主党内部にはバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員を支持する左派の票を失うという不満の声も聞かれるが、今のところ米NPOプランド・ペアレントフッド(Planned Parenthood)や、労働総同盟産別会議(AFL-CIO)などの大規模労組、自然保護団体シエラクラブ(Sierra Club)など、民主党の支援団体は歓迎する意向を示している。(c)AFP/Leila MACOR