【7月23日 AFP】米白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の元最高幹部、デービッド・デューク(David Duke)氏(66)は22日、南部ルイジアナ(Louisiana)州から米上院議員選に出馬すると表明し、「本物の米国人」のための革命は近づいていると述べた。今年11月に投票が行われる米大統領選の共和党候補に指名されたドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が繰り広げてきた異例の選挙運動に触発された動きとみられる。

 白人至上主義者で第2次世界大戦(World War II)中のユダヤ人虐殺も否定しているデューク氏は、米国の極右勢力の中でも特に知名度が高い人物。

 ルイジアナ州バトンルージュ(Baton Rouge)では黒人男性が警官2人に射殺された今月5日の事件を受けて抗議行動が続き、さらに17日には黒人の男が警官3人を襲撃・殺害する事件が発生して人種間の緊張が高まっている。

 デューク氏は自身のウェブサイトに掲載した短い動画の中で、「私は、全ての米国人は平等な権利を持っており、敬意を払われるべきだと信じている。しかし、私が他の人と違うのは、欧州系米国人の権利と伝統に対する敬意を要求していることだ」「米国の上下両院のそれぞれに、少なくとも1人は欧州系米国人の権利と伝統を保護する政治家が必要だ」と述べた。

 デューク氏は「私たちは大量の移民流入を止めなければならない。また、アメリカを作った人々の子孫が浄化(一掃)される事態を止めなければならないと思う」とも述べた。

 共和党員であるデューク氏の出馬表明は、米大統領選で民主党の候補指名を確実にしたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官に対抗する共和党候補としてトランプ氏が候補指名の受諾演説を行った数時間後に行われた。

 デューク氏は動画の中で、不満を抱える白人の労働者階級と中流階級の支持を集め、候補指名を獲得する原動力となったトランプ氏の主張の一部に触れ、自身もこれらの主張に賛成する姿勢を示した。

 米国人の雇用と事業活動の保護、公正な貿易、政治活動における海外からの寄付金の禁止などを主張しているデューク氏は、「時は満ちた。米国人の大多数を占める真の米国人のための革命が近づいている」と述べた。

 デューク氏は「私が長い間主張してきた問題をドナルド・トランプや大半の米国民が支持していることに大きな喜びを感じている」と述べ、現代の政治家候補の中でトランプ氏の主要なスローガンである「米国第一」という言葉や政策を最初に「打ち出した」のは自分だと主張した。

 しかしルイジアナ州共和党は、デューク氏の出馬に「最も強い言葉で」反対すると表明した。ルイジアナ州共和党のロジャー・ビレール(Roger Villere)議長は声明で、「デービッド・デュークは有罪判決を受けた重罪犯で、憎悪に満ちた詐欺師であり、共和党の価値観を体現していない」と述べた。

 デューク氏は1989年から1993年までルイジアナ州の下院議員を1期務めた。1991年にはルイジアナ州知事選に出馬し、スキャンダルまみれだったエドウィン・エドワーズ(Edwin Edwards)前同州知事に敗れたものの、保守派が強い同州で白人票の半分以上を獲得した。(c)AFP