【7月22日 AFP】米プロバスケットボール協会(NBA)のアダム・シルバー(Adam Silver)コミッショナーは21日、2017年のオールスターゲーム(2017 NBA All-Star Game)の開催地をシャーロット(Charlotte)から別の場所へ変更すると発表した。ノースカロライナ(North Carolina)州が、反差別法を制限する新たな法律を成立させたことが理由だという。

 ノースカロライナで成立した「ハウスビル2(HB2)」州法は、トランスジェンダーの人々に、出生証明書に記載された性別の公衆トイレを使うよう義務づけ、さらにゲイとトランスジェンダーの人々を性差別の保護対象から外すという内容で、NBAをはじめ各所から批判を浴びている。

 声明でコミッショナーは、「興行を行うすべての国、地域、都市の法律をNBAが選べるわけではないことは認識しているが、シャーロットで、HB2が生み出した空気のなかで、オールスターという祭りが成功を収められるとはとても思えない」と話した。

 NBAファイナル開催中の6月、また7月前半にも変更の可能性を警告していたコミッショナーは、開催地変更に伴う「多大な経済的損失」を避けるべく、市や州政府、大手企業と協議を続けてきたが、巨大な祭典であるオールスターの準備には数か月を要することから、州政府関係者が夏季休暇から戻るのを待たずに決断を下した。

 コミッショナーは、新たな開催地は「数週間のうちに発表する」としており、今回白紙となったシャーロット開催も「可能ならば2019年に改めて実現したい」と明かしつつ、その条件として「この問題に適切な解決策が示されること」を挙げた。

 その一方でコミッショナーは、NBAのレジェンド、マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏がオーナーを務めるシャーロット・ホーネッツ(Charlotte Hornets)のホームゲーム開催については、誰もが楽しめる環境があると自信をみせた。

「シャーロットとホーネッツは、寛容な環境の創出を目指してきた。ゆえに今後も、同球団のアリーナでの試合観戦や行事参加に際しては、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)コミュニティーの一員を含めたすべての顧客を歓迎するはずだ」

 米国最大のLGBT支援団体、ヒューマン・ライツ・キャンペーン(Human Rights Campaign)のチャド・グリフィン(Chad Griffin)代表は、NBAの判断を称賛している。

「NBAとコミッショナーのシルバー氏は、差別を容認しないという明確なメッセージを打ちだした。憎きHB2法が、2017年のオールスターゲームなどの行事にふさわしくない環境を作り出しているとNBAはこれまでも繰り返し州政府に警告を送っていた」

(c)AFP