【7月21日 AFP】米ウォール街(Wall Street)の「強欲」を描いたマーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督、レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)さん主演の米映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート(The Wolf of Wall Street)』(2014年)を製作した映画制作会社に、マレーシア首相が絡む大規模な不正疑惑に関わっているとの疑いがこのほど浮上した。

 米司法省は、マレーシア政府が保有する投資会社「ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)」のマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑をめぐり民事訴訟の申し立てを行ったが、その中で『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を製作したレッド・グラナイト・ピクチャーズ(Red Granite Pictures)が名指しされていることが20日、分かった。

「1MDB」はマレーシアのナジブ・ラザク(Najib Razak)首相が絡んだ大規模な不正疑惑の渦中にある。レッド・グラナイト・ピクチャーズ共同設立者のリザ・アジズ(Riza Aziz)氏は、ナジブ首相の義理の息子にあたる。同制作会社は、作品製作に必要な1億ドル(約107億円)以上の資金を調達している。

 しかし、レッド・グラナイト・ピクチャーズは21日、こうした疑惑を否定。同社を通じて不法な資金が映画製作に投じられた事実は承知していないと反論した。

 米司法省の136ページにおよぶ訴状によると、2012年6月から同11月にかけて1MDB傘下の投資会社から計2億3800万ドル(約255億円)がアジズ氏の口座に振り込まれたという。以降、このうちのおよそ1億ドルがレッド・グラナイト・ピクチャーズ関連の口座に送金され『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などの作品製作費に充てられたとしている。

 さらに、資金の一部は、数回にわたるラスベガス(Las Vegas)豪遊費に使われたとされ、カジノ代金もここから捻出されたとしている。また、2012年7月の招待客には「『ウルフ・オブ・ウォールストリート』に主演したゴールデン・グローブ(Golden Globe)賞の受賞者」も含まれていたとあり、氏名こそ明記されなかったが、ディカプリオさんを指していることは明らかだ。

 ディカプリオさんは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』で2014年のゴールデン・グローブ(Golden Globe)賞で主演男優賞を受賞している。この映画でディカプリオさんが演じた株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォート(Jordan Belfort)は、投資家らをかもに億万長者にのし上がった末、有罪判決を受け服役した。(c)AFP