【7月20日 AFP】現在開催中のツール・ド・フランス(2016 Tour de France)で、ここまでステージ4勝を挙げていたディメンション・データ(Dimension Data)のマーク・カヴェンディッシュ(Mark Cavendish、英国)が19日、棄権を申し出た。その理由は、開幕まで2週間を切ったリオデジャネイロ五輪で、自身初となるメダルを獲得することに集中したいためだとしている。

「マン島ミサイル」の異名を持つ31歳のスプリンターのカヴェンディッシュは、今大会で4つのステージ勝利を挙げて通算勝利数を30に伸ばし、ベルギーの伝説的選手エディ・メルクス(Eddy Merckx)が持つ史上最多34勝の記録に迫っていた。

 しかし、カヴェンディッシュは休養日を挟んで再開される20日の第17ステージには臨まないことを決断した。今年のツールは残り5ステージではあるが、そのうち4ステージがアルプス山中の山岳ステージとなっている。

 カヴェンディッシュは声明を発表し、「今回のツール・ド・フランスでは、ディメンション・データのチームメートとともに、ものすごく楽しくて好調な2週間を過ごせた。それだけにとても悲しいことではあるが、レースを去る決断を下した」とコメントした。

「ここまで暑く激しいステージが続くなかで、チームは僕の疲労度を分析し、これ以上続けた場合、今年のもう一つの目標である五輪に悪影響が生じるレベルに来ているとの結論に達した」

「ツールが僕にとってとても大切な大会であること、またチームと特別な絆で結ばれていることを考えれば、レース撤退は簡単な決断などではなかった」

 チームの代表を務めるダグラス・ライダー(Douglas Ryder)氏は、カヴェンディッシュのここまでの健闘をたたえ、決断を尊重すると話している。

「マークは今大会、自身初となるイエロージャージーをもぎ取り、最初の休養日にはグリーンジャージーをチームにもたらしてくれた。これは並外れたことだ」

「この2週間、彼は素晴らしいチームリーダーであり、これ以上ないチームの顔として、チーム関係者全員、そしてわれわれの大きな理念を代表してくれた」

「マークはツールを去らねばならないことを残念に思っている。われわれとしては、リオ五輪で英国にメダルをもたらすという彼の夢を全力で応援したい」

 この日はまた、BMCレーシングチーム(BMC Racing Team)のローハン・デニス(Rohan Dennis、オーストラリア)も、カヴェンディッシュと同じく五輪に集中したいとして棄権を発表している。

 昨年のツールは開幕ステージの個人タイムトライアルで優勝し、翌日のイエロージャージー着用者となったデニスだが、今大会は総合首位に立つチームスカイ(Team Sky)のクリス・フルーム(Chris Froome、英国)から2時間半以上離され、順位も100位以下に沈んでいた。

 リオデジャネイロ五輪は8月5日に開幕する。(c)AFP