【7月19日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は18日、2014年のソチ冬季五輪や主要大会におけるロシアのドーピング疑惑について、カナダ人法学者のリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の主導で行われた独立調査の結果を公表した。そこでAFPは今回、96ページにわたる報告書に記載された重要な項目をまとめた。

――ソチ五輪について調査した結果、モスクワ反ドーピングセンター(Antidoping Centre Moscow)の手順は、国家による監視と指示で管理されており、大会の前後には、ほぼ全競技に及ぶロシア選手の尿サンプルに対し、この研究所で隠ぺい工作が行われていたという驚くべき事実が発覚した。

――国家ぐるみの不正の下、モスクワの反ドーピング研究所はロシア選手のドーピングを保護するために運営され、報告書には「正しい手段が存在しなかった」と記載されている。

――ソチ(Sochi)の反ドーピング研究所では、ドーピングを行っている選手が競技に出場できるようにするため、検体が特別な方法ですり替えられていた。

――露スポーツ省の指示、管理および監視の下で、連邦保安局(FSB)、選手の育成機関、モスクワとソチの各研究所などの積極的な関与によリ、検査結果の改ざんや検体のすり替えが行われていた。

――モスクワの研究所職員には、国家主導の不正に関与するかどうかの選択肢はなかった。

――ロシア選手のドーピングを促進および可能にするための予防措置が、何らかの理由で効果を発揮しなかったことが判明した場合、研究所は安全策を講じるなど、簡潔な安全対策が実行されていた。

――モスクワの研究所の検査手順の変更を指示することにより、検査結果を陽性から陰性に変えることが可能となっていた。この作業はスポーツ省、反ドーピング機関(RUSADA)、FSBがすべて関与していた。

――2013年の第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)終了後、研究所では多くの検体が陽性反応を示した。そのため、国際陸上連盟(IAAF)に指示された別の研究所に送られる前に、検体のボトルを開封して汚れた尿サンプルのすり替えを行っていた。

――この報告書に挙げられた結論が今回の調査で立証されていることは、合理的で疑問の余地はない。

(c)AFP