【7月11日 AFP】インドとパキスタンが領有権を争うカシミール(Kashmir)地方のインド支配地域で10日、地元で影響力を持っていた反政府組織の指揮官が殺害されたことに抗議するデモ隊が、政府軍が2日連続で衝突し、同日までに民間人ら18人が死亡した。一帯で発生した市民の暴動としては2010年以降で最悪レベルとなった。

 AFPの取材に応じた警官によれば、死亡した18人の中にはサンガム(Sangam)地区で激高したデモ隊に装甲車ごと川に突き落とされて水死した警官1人も含まれている。前日9日には政府軍が催涙ガスや実弾を使用し、デモ隊を中心に負傷者が200人出ていた。

 カシミール最大の反政府組織「ヒズブル・ムジャヒディン(Hizbul Mujahideen)」の指揮官で、地元で英雄視されていたブルハーン・ワニ(Burhan Wani)氏(22)が8日、政府軍との銃撃戦で殺害されたことを受け、多数の地元住民が政府による外出禁止令を無視して路上で抗議デモを行っていた。

 ジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)州政府は抗議デモの拡大を防ごうとインターネットや携帯電話の通信を切断。10日には沈静化を呼び掛けたが、負傷者の治療を行っている病院や救急車を治安部隊が襲撃しているとの報道もある。

 インドとパキスタンが分割支配しているカシミール地方では1989年以降、戦闘で数万人が犠牲になっている。インド側では多数の兵士が配置され、大規模な取り締まりが行われた結果、暴力事件はここ数年急減していたが、最近は軍の存在に対する若者らの不満につけ込む形で武装勢力による襲撃が増えていた。(c)AFP/Parvaiz BUKHARI