【7月10日 AFP】トルコ紙ハベルチュルク(Haberturk)は9日、裕福で教育水準の高い人材を国内に引き留めるため、トルコ政府が最大で30万人のシリア難民にトルコ国籍取得を認める計画だと伝えた。

 レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は今月2日、トルコ政府最高レベルの要人として初めて、シリア難民が希望すればトルコ国籍を取得できるだろうと述べていた。

 ハベルチュルク紙によると、計画は段階的に進められ、まず3万~4万人を対象とし、最終的には最大で30万人を目指すという。

 同紙によると、トルコ政府は高い技能を持つシリア難民がトルコ国籍を取得することを期待している。シリア以外の国から来た難民でも、学歴が高ければ同様にトルコ国籍取得が可能となる。トルコ国籍を取得した人の家族にもトルコ国籍を取る権利が与えられるという。

 通常、トルコ国籍を取得するには5年以上国内に居住することが求められるが、シリア人にはこの義務が免除される。またトルコ国籍を取得したシリア難民は、国籍取得の1年後から選挙での投票も可能となる。

 しかしトルコのソーシャルメディアにはこの計画に反対する声が上がり、9日には短文投稿サイト「ツイッター(Twitter)」で#suriyelilerehayir(シリア人反対)」がトレンド入りした。

 エルドアン大統領は、5年間続いているシリア内戦を逃れてトルコに来るシリア難民を受け入れる方針を取ってきた。トルコ政府によると同国には現在シリア人難民が270万人以上滞在している。

 トルコは今年1月、シリア難民に労働許可証を与える施策を導入して各国の賞賛を受けた。トルコのメディアは先週、同国労働省の統計として、この施策により5502人のシリア人が労働許可証を取得したと伝えた。

 トルコは今年3月、同国から欧州に殺到する移民・難民を抑制するため、ギリシャに密航した移民を全てトルコに送還することで欧州連合(EU)と合意した。その結果、トルコから欧州への密航船は減少した。(c)AFP