【7月8日 AFP】五輪開幕を来月に控えたブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)州の警察が昨年殺害した人の数は少なくとも645人に達し、過去10年間では8000人を超えると、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)が7日発表した。

 HRWの報告によると、死者の合計には同州の警察が通常の職務遂行中に行った処刑スタイルの殺人と死に至った数十件の暴力が含まれている。

 HRWは、リオ警察が司法手続きを踏まずに少なくとも24人の未成年者を含む合計116人を殺害し、そのことを隠蔽(いんぺい)しようとした事例を過去8年間で64件特定したとしている。

 HRWの聞き取り調査に応じた警官30人のうちの一人は、「われわれが職務をよく果たしていることを示すため、上司から犯罪者の殺害を要求されていた」と証言した。

 この警官はリオで最も危険な地区の一つに駐在し、重武装した麻薬密売人を取り締まる作戦に加わっていた。犯罪を減らすため武装した麻薬密売人を殺害するという戦略だったという。現在も捜査チームの一員である同警官は、報復を恐れて匿名を条件に語った。

■目撃者を殺害することも

 HRWの報告によると、警察は武器や麻薬を遺体に仕込んだり、目撃者を脅迫したりすることもあったという。報告書に引用されたある検事の証言によれば、2011年には警官による殺人を目撃した女性の息子(14)が拷問を受け死亡したこともあった。

 犯罪発生率が上がっているとの批判に対し警察は、警察の任務はあまりに危険になっておりリオデジャネイロ州では今年だけで50人以上の警官が死亡したと主張している。

 2015年にリオデジャネイロ州の警官に殺害された民間人の数は、任務中に死亡した同州警官の24倍以上に上った。この比率は南アフリカの2倍以上、米国の約3倍に相当する。(c)AFP/Laura BONILLA CAL